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執筆者の写真如月サラ

死んだときに「私」はどう記憶されているか




昨年1年間、米ペンシルベニア大学大学院応用ポジティブ心理学修士課程のプログラム構成に基づき、ポジティブ心理学を1年間学ぶ機会を得た。


その中で、ポジティブ心理学の創始者であるクリストファー・ピーターソンが提唱している「自分の遺産を書いてみる(Write your own legacy.)」というポジティブ心理学介入を体験してみた。


これは、自分が死んだ後、最も親しい人たちにどのような人間として記憶されたいかということを書くもの。


「夢や希望はそれを実現しようとしない限り実現しない」とピーターソンは言う。その「遺産(legacy)」を現実にするための計画があるか、それを実行に移すことができているかが大切なのだ。


今夜は「自分の遺産(legacy)」を読み返してみた。ほんの少しずつだが、実現に向かって前進しているような気もしている。


1年前に私が書いた文章は下記の通り。



 


彼女には若い頃に離婚して以来伴侶がおらず、子もいなかったし、もともときょうだいもなく両親が亡くなってから家族と呼べる人はいなかったが、つねに愛にあふれた友人達に囲まれていた。老若男女に関わらず、彼女の周りには心優しく善きひとびとが集まった。出かけることが難しくなってからは、そんな友人達が彼女のもとに訪れ最期まで付き添った。


会社を辞めてしばらくは同じ仕事を個人で続けたが、どこかの会社の商品やサービスがよく売れるために自分の時間を犠牲にすることに疑問を抱いてからは、より愛にあふれる世の中をつくるための自分の仕事に力を尽くした。志に賛同した多くの人々が、彼女の夢を実現するために惜しみなく力を貸した。


鳥や犬や猫などの動物を多く飼育してきた家に生まれ育ったこともあり、彼女の周囲にはつねに動物の姿があった。特に猫たちは彼女によく懐き、哲学者のような表情を時折ゆるめて彼女の姿を眺めた。最後の猫を見送ってからは、そんな猫たちとの思い出が彼女をいつもほほえませてくれた。


昔から善き人であったわけではない彼女は、気づきと努力によってその考え方や行動を少しずつ変えてきた。それでも完全な善人になることなどできなかったが、周囲の人々は彼女のそんなたゆまぬ努力を知っており、それがゆえに彼女を愛した。


彼女は若い人とよく交わった。若い人々もまた彼女を慕い、あるいは時には教え、年齢を超えた人と人との関わりを楽しんだ。


彼女がいなくなって家族はそこで途絶えたが、彼女がつないだ人々が多くの新しいつながりを作り、また彼女の考え方や在り方に賛同し、あこがれた人々がその遺志を継ぎ、それぞれの場所でそれぞれの役割を果たした。


つまり、彼女はその生き方をもって世の中に多くの種を残したのだ。




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